ブライダル・ホテル・飲食店専門のコンサルティング会社です

Feel and Create 代表取締役 古賀
featuring SDGs認証機関「一般社団法人日本ノハム協会」執行役員 山野氏

国連が定めた「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」、通称SDGsをテーマに、一般社団法人日本ノハム協会 執行役員の山野文栄様と、弊社古賀が対談をおこないました。SDGsと私たちはどう向き合うべきなのか?ビジネスにもたらす影響とは?など、約1時間に渡りかわされた活発な両者の意見交換。今回はインタビュー形式でお届けいたします。

  • Contents
  • SDGsを浸透させるべきは、政府でも大企業でもなく人々の生活を支える中小企業
  • 持続可能な開発目標は、中小企業がこの時代を生き残るための「指針」になる
  • コロナ疲れの残る中小企業の免疫力を上げる、それがSDGs

SDGsを浸透させるべきは、政府でも大企業でもなく
人々の生活を支える中小企業

一般社団法人日本ノハム協会(以下:日本ノハム協会)は、株式会社タガヤの代表取締役でもある神田尚子様が立ち上げた組織と伺っております。なぜあえて別法人化されたのか、立ち上げ背景をお伺いできますか?

山野様)2015年の国連サミットで採択されたSDGs。以来、株式会社タガヤ(以下:タガヤ)内では持続可能であること、SDGsにもとづいた考え方を取り入れていこうと、独自に活動をおこなっていました。タガヤという会社はブライダルという業務の特性上、ドレスや各種商品の仕入れ・買い付け のために、経営陣が欧州へと頻繁に足を運びます。その際、決まって目にするのは海外でのサスティナブルなスタイル。フードロスへの配慮や再生エネルギーへの取り組みなど、行く先々で日本にはないライフスタイルを体験しては、社内にインプットしていたのです。同時にSDGs推進チームを設置。まずできることからやってみようよ、ということで始めたものの、「SDGsというものが、私たちの仕事にどう繋がるのか」までは、なかなかイメージがついていなかったのが正直なところでした。

―たしかに今もなお「SDGs」と聞いたところで、ピンとこない経営者は多いようですね。

山野様)はい、特にブライダル業界では、まだその単語すら認知していない企業も多いと感じています。
そんな中、神田が前国連大使の吉川氏とお話をする機会がありまして。その際、採択されてから5年経った今でも日本国内にはまだまだ浸透していないこと、行政や大企業が取り組みをおこなっても、結局国内企業のうち99.7%をしめる中小企業が取り組まないことには、個人レベルにまでは普及しないはず、という主旨の意見交換をさせていただいたのです。
神田はこの会合を機に、普及をミッションとする別組織をつくるべきだと判断。それがこの日本ノハム協会を立ち上げるキッカケとなりました。ちなみに「ノハム®︎」とは no harm 害がない(悪い影響をもたらさない)という意味。同時に誰も傷つけない(誰も取り残さない)という思いも込められているのです。

個人レベルに落とすには、たしかに中小企業レベルで認識できないと普及は厳しそうですね。働き方が変われば、当然プライベートにも波及していくはずですし。

山野様)そうなんです。個人が持続可能な世界にするには、まず企業が持続可能な姿勢を持っていなければならない。だからこそタガヤ経営陣も5年くらい前から「未来に存続する企業になるためには?」という視点で事業に取り組んできました。決して流行りを取り入れるとか、目の前の利益だけではなくて、企業の在り方みたいなもの、本来あるべき姿そのものをカタチにしようとしていました。その結果、言語化されたタガヤのポリシーが「LOVE ONE ANOTHER・周りを幸せにしよう」なのです。SDGsありきで社団法人を立ち上げたのではなく、SDGsへの理解を深めることで、そもそも企業としてどうありたいか、働く従業員に何を伝えたいかという思いが、SDGsと完全にリンクしていたことに気づき、その結果、社団法人を立ち上げました。つまり、SDGsの考え方に沿って自社を見つめ直すことは、この時代に“持続可能な”組織になれるはずだと、私たちは考えているのです。

持続可能な開発目標は、中小企業がこの時代を生き残るための「指針」になる

Feel and CreateがSDGsに注目しはじめたのは、なにがキッカケでしたか?

古賀)神田様の著書「最先端のSDGs ノハムこそが中小企業の苦境を救う」と巡りあったことが最初のキッカケです。
SDGs自体は知っていましたが、自分の活動にSDGsの要素があるなんて、あまり自覚していなかった。でもSDGsが掲げる17の目標をよくよく紐解いてみれば、自分自身の中にかなり当てはまるものがあったのです。
例えば、アフターコロナになってクライアントと立ち上げた、BtoB向けのドレスレンタルのサブスクリプションサービスなどそのひとつ。あえてSDGsを意識して取り入れずとも、自分の中にそもそも近い価値観や発想があったんだなと、書籍を通じて気づいたのです。でも同時に、「価値観は同じでも、その事実を言語化しておかないと周囲へのアウトプットも広報もなかなか難しいな」ということにも気づいた。だったら私たちもSDGs認証の申請(※1)をキッカケに、自社の価値観を言語化してみよう、と思い立ったんです。

※1 企業のSDGs取り組みを可視化する『ノハム認証』

たしかに、いい事をしているのに、それをうまくPRできていない中小企業は多そうですね。

古賀)そうなんですよね。このコロナ危機を経て、世の中にはSDGs目標にも十分に当てはまるような、素晴らしい取り組みや事業を展開している企業がたくさんあります。でもそこに気づき、言語化し、対外的にPRしている企業はまだまだ少ない。逆に考えれば、きちんと明文化するだけで企業ブランディングの一環になるんです。遠慮せず、謙虚になり過ぎず、もっと伝えていくべきなのです。
最近私がよくいただく質問は、「17の目標のうち、1個しかやってないのに認証って取れるんですか?」とか、「目標は全部クリアしてないと申請できないんじゃないですか」ということ。これは本当によく聞かれるんですが、そんなことはない。17あるSDGsのゴールはすべてやらなくてもいいんです。もちろん世界基準としては一つだけ目標達成しても、世の中は良くならないし、17のゴールすべての達成が必須なのですが、一企業で全部網羅する必要はない。皆がそれぞれの得意分野をそれぞれの業界が取り組むことで、社会全体で大きな輪となり、皆で17のゴールを達成すればいいのです。
その大きな輪の一員として役割を担えるならば、それはとても大きな存在意義になる。もしも自分の企業がそうなるならば経営者はもちろん、従業員の皆さんもきっと誇らしいはずですよね。
多様化するこの時代は、誰もが「不安定感」を覚える時代です。こんな時代の渦で経営者もそこで働く従業員も、何か一つのことを目指して働くこと自体が不安。だからこそ不安定さのもうひとつ先に、一つの評価点みたいなものがあるときっと安心に繋がるんだろうなと。いろんな過去の経験値から、未来を考える力も必要なんですが、その先に目標を設定してあげないと、なんでもかんでも「未来設計は自己責任で」というのはちょっと難し過ぎるのかな、と。だからこそ、SDGsを指標にする。これは一つの指針としてとてもわかりやすい。クライアントが安心して前を向けるサポートを、SDGsというキーワードを軸にすすめていきたいなと思っています。

でも本業をこなしながらの申請って、大変ではなかったですか?特に商業用認定はハードルが高いと聞きますが。

古賀)そこは日本ノハム協会様のサポートがあったのでスムーズでした。例えば申請するにあたり、企業の取り組みを見える化するチェックシートみたいなものを日本ノハム協会様がお持ちなのですが、そのアンケートに答えるかたちで自社が当てはまる目標を紐といていくのです。

山野様)企業毎にヒアリングをさせていただきながら、「今御社で実施されていることは、SDGs目標の何番に繋がりますよ」とか「このコンセプトを可視化すればもっとPRできるのでは?」などアドバイスも交えたり…。いろんな対話を重ねながら分析・提案・改善を含めた認証監査をおこないます。
やはりこのコロナ禍においては、ビジネスと完全に切り離した「ボランティア」だけでは、企業って持続しないと思うのです。だから単にSDGsの認証だけじゃなく、企業が生き残る、まさに持続可能になるためにはどうすればいいか、を一緒に考えて普及支援をおこなうのが私たち日本ノハム協会の役目です。
ちなみに経営層の方から、「SDGsとCSRとでは何が違うんですか?」と聞かれることがあります。もちろん共通している部分は多々あるのですが、大きく違うのは「事業そのものがサスティナブルであるかどうか」かなと。ボランティアではなく、企業が未来に生き残るためにサスティナブルな事業に取り組み続ける、そのためのSDGsの認証サービスだと私たちは考えています。

コロナ疲れの残る中小企業の免疫力を上げる、それがSDGs

今後、それぞれの組織が目指す未来を教えてください

山野様)よく企業では「他社と差別化していかないといけない」と言われていますよね。私たちはSDGsこそが、その差別化を後押しできると考えています。
先ほど古賀さんのお話にもありましたが、日本には素晴らしい事業をされている中小企業がたくさんあります。でもなかなかうまくPRができていない。
私たちはこういう理念を持って商品・サービスを提供していますということを、きちんと発信できる企業を一社でも多く増やしたいのです。その発信には、きっと未来に必要とされているキーワードが込められているから。

例えば、京都に古くからある料亭では、「陰徳善事」という考え方があり、素晴らしい取り組みをされていても、あまり自慢というか表立って言わない、という文化がありますが、そういう企業にこそ、普及していきたい。
発信することは皆さんの従業員やご家族のため、未来のために、資源をちゃんと残すことは素敵な取り組みだと、多くの方に知っていただきたいと思っています。
だから認証を取って終わりじゃない。認証を取得したあと、企業のSDGs取り組みが促進できるようにお付き合いしたい。認証後のレポートでは、今後取り組むべきSDGs経営について、また企業の目標に合わせた指標の設定などをご提案しています。嬉しいことに、認証後の企業様が「このサービスはSDGsでいうと何の貢献に繋がるのだろう?」と、自社の活動をサスティナブルな観点で考えてくださるようになっています。日本ノハム協会は、企業がSDGsを自ら考えるキッカケとなるように、また私たち自身も日本の中小企業様と一緒に「持続可能」なサービスを目指しています。

古賀)今、各企業では「コロナ疲れ」がでてきているんじゃないかと。そんなお客様に対して、ただ叱咤激励して、ムチを振るうようなコンサルティングはしたくないんです。
SDGsの考え方を可視化して、時代の流れを受け入れた自然なカタチで集客する、そしてしなやかに自分たちのサービスに変えていく、そんなサポートをしたい。
例えば結婚式場で、免疫力のあがる食事を取り入れた、新しい試食会を楽しめるブライダルフェアを開催する、という企画もそんな発想で考えたコンテンツのひとつ。
「結婚式までおふたりの体調を第一に考える式場でいたい」そんなスタンスでお迎えする式場と、ボリューミーな肉とフォアグラとオマール海老を武器に、相変わらず力勝負で集客する式場。どちらがサスティナブルなのか、どちらがアフターコロナのパートナーとなりえるのか。今この時代、カスタマーは何を感じ何に共感するのか、そこに意識を向けたいのです。ちょっと目線を変えてあげるだけで、どんな企業様もぐっと素敵になる。同じサービスでもお客様に提供できる価値が上がる。謙虚でちょっと伝えベタな日本の中小企業様を、これからもどんどん応援していきたいと考えています。

SDGsの取り組みに関するご相談は「無料オンライン相談」にて、随時お問合せを承っております。以下のコンタクトフォームに「SDGsの件」とご記入いただき、お気軽にご相談ください。

無料オンライン相談

オンラインでのご相談が可能です。
エントリーフォームからお申し込みください。
ご相談以外にもお気軽にお問い合わせください。

Contact
scroll